私はレバレッジ型金融商品を使って積極的に資産運用し、それを発信しています。
しかし最近、金融庁からレバレッジ型金融商品に関する注意喚起がありました。
私の投資方針とは少し異なる趣旨の注意喚起でしたが、自分と異なる意見にも耳を傾けることは重要です。
そこで今回は、金融庁の注意喚起の内容を整理・解説し、それを受けて個人投資家が取るべき行動を考えていきたいと思います。
背景:個人投資家の過度なレバレッジ投資?
昨今、個人投資家にレバレッジ投資は大変人気があります。
個人投資家SNS界隈では「レバナス」(Nasdaqにレバレッジをかける商品のこと)という用語が飛び交います。
2021年11月の楽天証券の投資信託買付金額ランキングを見てみましょう(リンク)。
レバレッジ商品が3つ(4位・楽天日本株4.3倍ブル、5位・楽天レバレッジNASDAQ-100、6位・iFreeレバレッジNasdaq100)もランクインしています。
「楽天レバレッジNASDAQ-100」、「iFreeレバレッジNasdaq100」がいわゆる「レバナス」と呼ばれる商品です。
そのほかにもレバレッジ商品は多数あり、私が推すのはS&P 500に3倍レバレッジの米国株ETFである「SPXL」です。
レバレッジ型ETF等に対する金融庁の注意喚起
個人投資家がレバレッジ投資に流れる情勢に対して、金融庁が注意喚起をしました。
2021年6月30日付で一部検討中の内容も含まれる文書が公表されましたが、2021年11月19日に更新され確定版になったと考えてよいと思います。
詳細は金融庁のホームページ公表のPDFをご覧ください。
注意喚起の文書は、わかりやすく平易な文章であり、多くの個人投資家に向けたメッセージです。
レバレッジ型・インバース型ETF・ETN(以下、「レバETF等」という。)はリスクを伴うものですので、そういうことを理解して購入しましょうということです。
大きく分けて3つの注意喚起がされているので、ひとつひとつ見ていきましょう。
注意喚起① 長期間での指数との乖離
レバETF等は、1日の指数の値動きのレバレッジ倍の運用成果が得られることを目標として運用されます。
しかし2日以上レバETF等で運用しても、指数の値動きのレバレッジ倍になるとは限りません。
そのためレバETF等は、短期売買により利益を得ることを目的とした商品とされています。
先ほど紹介した金融庁の資料に、図解付きで説明されていました。
注意喚起② 運用コスト
レバETF等の運用には先物取引が用いられているため、そのコストを負担することになる。
具体的には書かれていませんが、レバETF等の経費率が通常のETFより高いということです。
注意喚起③ 先物の限月
先物取引の期限(限月)を乗り越える際にリスクが生じる。
具体的には、レバETF等の運用が過大なレバレッジ倍率とならないよう、信用取引に係る保証金率を今後引き上げるとされています。
レバレッジ型ETF等販売者に対する説明義務の強化
個人投資家に注意喚起する一方で、レバレッジ型ETF等を販売する側は説明義務が強化されるとのことです。
先ほどと同じ金融庁の資料に記されています。
内閣府令案で追加されているレバETF等の広告・説明義務
- 原指標とレバレッジ指標等に差が生じる旨及びその理由
- 中長期の投資目的に適合しないものであるときはその旨及びその理由
- レバレッジ指標等に関する特性その他顧客の注意を喚起すべき事項
注意喚起に対する私の意見
さあ、それでは金融庁の注意喚起をどう受け止めるか、ここが重要です。
私としては、これまでの投資方針に変わりありません。
注意喚起に対して、ひとつひとつ私の意見を整理していきます。
注意喚起① 長期間での指数との乖離
金融庁の指摘「2日以上レバETF等で運用しても、指数の値動きのレバレッジ倍になるとは限りません」
全くそのとおりです!
その点を踏まえてレバETF等のパフォーマンスを検討する必要があるので、私は分析を行い、リスクとリターンのバランスを検討して、レバETFを使っています。
注意喚起② 運用コスト
金融庁の指摘「レバETF等の経費率が通常のETFより高い」
これも全くそのとおりです!
レバETF等は先物取引を使うので、運用コストが高くなることが避けられません。
例えば、S&P500連動ETFの経費率は0.05%以下なのに対し、S&P500の日変動3倍に連動するレバレッジETF・SPXLの経費率は約1%です。
もちろん、私自身このことは理解しています。
そして、私の分析で、経費率のデメリットを上回る運用メリットがあると判断して、SPXLを利用しています。
注意喚起③ 先物の限月
金融庁の指摘「先物取引の期限(限月)を乗り越える際にリスクが生じる」
これは少し難しい指摘です。
株式売買が先物取引だらけになるなど、市場が過度に荒れると限月を乗り越えるリスクが生じるでしょう。
ただし株式の先物市場において、過去にそうなったことはありませんし、これから起こるとは考えづらいです。
レバレッジ投資が株式投資のメインストリームになってしまったら危ないのかもしれませんね。
商品をしっかり理解して投資に取り組むべし
金融庁のいずれの指摘もそのとおりです。
レバレッジ投資に取り組む人は理解しておくべきことだと思います。
レバレッジ投資に限らず、投資に長く取り組み、暴落の局面で狼狽売りに走らないようにするためには、投資対象のリスクを把握し、自分自身がその投資法に腹落ちすることだと思います。
おわりに
本日は、レバレッジ投資に対し金融庁が警鐘を鳴らしたことについて、その内容のレビューと私なりの意見を述べました。
金融庁の警鐘を受けても、私の投資スタイルに変わりはありませんが、金融庁の警告自体は検討する価値があるものだと思います。
金融庁はよい教材を提供してくれたので、個人投資家は一読するとよいと思います。
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