大学生や大学院生には奨学金の利用を勧めています。
仮に使わないとしても、低金利の奨学金を借りて運用すると大きな利益が発生します。
本日は、奨学金を借りて、その金で資産運用するとどれくらい得をするかシミュレーションをしたいと思います。
本当はダメ?
奨学制度は「経済的理由で修学が困難な優れた学生に学資の貸与を行い、また、経済・社会情勢等を踏まえ、学生等が安心して学べるよう、「貸与」または「給付」する制度」(日本学生支援機構より)とされています。
そのため、奨学金を借りて運用することは目的外になってしまいます。
ですが、もちろん奨学金の使途が限定されいるわけではなく、運用に使っても罰則はありません。
シミュレーション ~奨学金を借り、使わずに運用する~
シミュレーションの考え方
奨学金を借りて、全く使わずに運用し、運用したお金から返済するとしたら、返済完了後にお金は残るのか、試算してみましょう。
シミュレーション条件
仮に奨学金を大学4年間で毎月12万円借り、そのまま投資に回したとします。
借入額:576万円(12万円×48か月)
利 子:あり(年0.07% 固定金利)
返 済:卒業後20年間、毎月定額
投資額:毎月1日に奨学金をそのまま投資
投資先:VOO(S&P 500に連動、経費率年0.03%、購入、売却時に0.5%の手数料)
その他条件:
・単純化のため為替変動はないこととする。
・S&P 500の推移として1995~1998年に借り入れ、1999~2018年の20年間をかけたとして想定する(ITバブル崩壊やリーマンショックもあった結構厳しい期間、単純化のため1月入学とします)
S&P500を投資先として推奨しているわけではありません。S&P500は歴史が長く、過去のデータが取得容易なため、試算に利用しているだけです。
ミュレーション結果
青色の線は、仮に運用をしないと奨学金の利子の分(約4万円)マイナスになります。
ですが、運用をすると返済が済んでも資産が残ります。
返済期間中に2000年代前半のITバブル崩壊、後半のリーマンショックがあり、運用額が大幅に減っていますが、その後は持ち直し、毎月2.4万円程度返済しているにも関わらず、運用額は増え続けます。
結果として、奨学金返済後に890万円ほど残りました。
576万円お金を借り、そこからお金を返し、手元に890万円残ったということです!
シミュレーション ~奨学金を借り、一部を使ってしまい、一部を運用する~
シミュレーションの考え方
奨学金を借り、使わずに運用すると、返済完了後に手元に大きな資産が残ることが分かりました。
それでは、在学中に一部お金を使い、一部運用に回したらどうなるのでしょうか?
皆さん、在学中はお金がないでしょうから、こちらの方が現実的かもしれません。
シミュレーション条件
仮に奨学金を大学4年間で毎月12万円借り、5.4万円(45%)使い、6.6万円(55%)を投資に回したとします。
その他の条件は先ほどと同じです。
シミュレーション結果
借入額は計576万円で45%(259万円)を使ってしまうので、運用しないと借入終了時の資産は960×0.55=317万円になります。
ですが借入中も運用すると、借入終了時に運用額は532万円になりました。
そこから運用しながら借入額を返済していくと、返済終了時に約8万円手元に残りました。
576万円お金を借り、259万円使い、あとはチャラにする。
錬金術です!
ポイント
繰り上げ返済しない
上記のシミュレーションのポイントは、繰り上げ返済などせずにじっくり返すことです。
奨学金の金利は現在0.07%であり、めちゃくちゃ安いです。
手元にお金があるのであれば、繰り上げ返済するより長期運用する方が有利です。
ばらつきはある
今回のシミュレーションの対象としたのは、ITバブル崩壊やリーマンショックも含めた厳しい期間ですが、実際の条件はもっと悪い可能性もあります。
今回のシミュレーションでは借入額の45%を使っても、残りを運用すれば持ち出しをしなくても返済できましたが、もう少し余裕を見て考えても良いかもしれません。
投資とはある程度不確実なものなのです。
借入額が変わっても同じこと
今回のシミュレーションでは576万円の借り入れを想定しましたが、額が変わっても比は変わりません。
仮に57.6万円の借り入れであれば1/10の変化となるだけです。
私ならばこうする!
仮に私がこれから大学生になるのであれば、奨学金を最大限12万円借ります。
そこから学費と大学生活に必要な金額だけ使ってあとは投資に回します。
卒業後は投資を切り崩しながら奨学金を払います。
返済で必要あらば就職後の給料から補填します。
繰り上げ返済はしません。
おわりに
今回の記事では、シミュレーションを使って、奨学金利用を考えてみました。
借金が怖いという理由で、奨学金利用をためらう方もいると思いますが、怖がる必要はありません。
奨学金は、数字で考えると、お得なものです。
これから大学生になる人、大学生の子を持つ親御さんは、積極的に奨学金の利用を考えても良いと思います。
しかし、大学生の子を持つ親御さんは、大学資金を準備しなくて良いということではありません。
大学資金の準備についてはぜひとも過去の記事をご覧ください。
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